お客様アプリケーション 2017年9月21日
推進システムの見える化

ディーゼルハイブリッドシステムは、クルーズ船、ヨット、特殊船などに大きな利点をもたらします。SAM Electronics 社のシステムはコアコンピタンスの1つです。同社は、海洋の電気および電子システムの専門会社です。SAM Electronics 社は、船舶推進システムの設計において WAGO I/O System の柔軟性と信頼性を重視しています。

L-3 Communications 社の子会社である SAM Electronics 社は、船舶用電気および電子システムの世界的リーダーです。SAM Electronics 社は、100 年以上にわたり、船舶および海軍用途向けの製品とシステムを開発してきました。ドイツのハンブルクにある本社に 600 人以上の従業員を擁し、世界中に 1,400 人近くのスタッフを擁する同社は、革新的で顧客志向のソリューションを提供しています。ソリューションには、発電と供給、船舶の通信とナビゲーション、海上運航の自動化と安全および監視システム、娯楽関連や推進技術が含まれます。同社の提供するサービスは、小規模なものから、プランニング、エンジニアリング、生産、オンボードインストールなどの統合システムやターンキーソリューションに至るまで、あらゆる範囲をカバーしています。

推進制御 ― WAGO のサポート：

WAGO-I/O-System 750 は、ドライブシステムから関連データをすべて収集
WAGO-I/O-CHECK を使用して事前にシステムをチェック
お問い合わせがあった場合は、リモートで診断可能

データ利用と信頼性の向上

ディーゼルハイブリッドシステムは、クルーズ船、ヨット、特殊船などに大きな利点があります。動作は静かで振動が少なく、優れた操作性と高レベルの自動化と高い信頼性を備えたシステムが設計できます。障害や操作エラーの防止には、すべての機能と主要なパラメータを監視および制御することが重要です。そのためには、さまざまなデータを収集する必要があります。例：スクリューやエンジンの使用率稼働可能時間エンジンシャフトの潤滑変圧器や冷却液の温度このようなデータを分析することで、システムの信頼性を高めながら推進制御を合理化できます。

さまざまな状況に対応

信頼性向上のために、SAM Electronics 社はディーゼルハイブリッドシステムを採用しています。従来の機械式ディーゼルシステムは、個別のスクリューに直接接続されたディーゼルエンジンで動作します。ディーゼルハイブリッドシステムは複数のスクリューに動力を伝達することができます。ディーゼルエンジンで駆動される発電機は、駆動モータと他のすべての負荷に電力を供給します。スクリュー駆動はモータで行うためディーゼルエンジンの駆動とは別に行えます。このため、極端な気象条件や環境条件でも、船に最大限の機動性がもたらされます。必要とされる電力に応じたディーゼルエンジンのみが電源に接続されます。このため、ディーゼルエンジンの動作が節約され、エンジンを最高の効率で動作させることができます。このシステムは、1 ～ 21 MW のさまざまなエンジンサイズに適用されます。各モータにはインバータ、トランスが接続されており、個別に動作します。このため、各モータと中央制御システム間のデータ交換が重要になります。

各種のフィールドバスに対応

SAM Electronics 社のシステムは、WAGO 750 I/O System を通じてドライブシステムからすべての関連データを収集し、エンジン制御室（ECR）およびブリッジからリモート制御します。WAGO I/O System は仕様に応じてノードを構成できます。さまざまな線数とアナログ信号に応じたタイプがあります。1、2、4、8、16 ch のデジタル入力 / 出力モジュールは、必要に応じて組み合わせることができ、柔軟性に優れています。モジュール方式により、無駄がなく省スペースです。12 mm（1/2インチ）のモジュール幅で最大 16 ch に対応できます。

カスタマイズ可能なモジュール式システム

フィールドバスコントローラとバスカプラには、さまざまなフィールドバスに対応するモデルが用意されています。船舶では、使用場所に応じて、さまざまなフィールドバスが使用されます。通信は主に Ethernet で行われますが、ECR システムでは Modbus® または CAN が使用されます。RS-485 インターフェースも多くの機器で使用されています。SAM Electronics 社は、機関室からブリッジに至る標準コンポーネントとしてこのような多様性に対応できる、 WAGO I/O System を採用しています。「私たちの設計思想は、可能な限り標準化されたコンポーネントを使用することです。」と、SAM Electronics 社のドライブシステムのプロジェクトマネージャーである Rainer Genilke 氏は述べています。「WAGO I/O System を使用すると、ドライブシステム全体のすべての重要なデータを柔軟に利用できるため非常に便利です。このシステムは、すべての船種に対応できます。標準化は、設計と在庫管理だけでなく、船内に保管されるスペアパーツを統一できるという大きなメリットがあります。」

船舶の設計から完成まで柔軟に対応

造船の 1 年から 2 年の期間には、仕様の調整や変更が必要になることがよくあります。制御システムの変更や機器の追加が必要な場合は、電気システムも変更する必要があります。WAGO I/O System はモジュール式であるため簡単に使用を変更できます。制御盤内に追加用のスペースを取っておけば将来の改修にも対応できます。Rainer Genilke 氏は、WAGO のリモート I/O が分散制御を簡単に構成できる点を高く評価しています。コンフィグレーションは、 WAGO-I/O-CHECK テストツールで行います。このツールは、コントロールユニットを実装していなくても、システムの配線と機能をテストできます。

電源ケーブルとフィールドバスケーブルを接続するだけでシステムは動作します。「最新のシステムでは、船舶から衛星を介してすべてのドライブシステム関連のデータが提供されます。」と Rainer Genilke 氏は述べています。海上で障害が発生した場合、技術者はオフィスから船舶にリモートで接続して診断を実行し、サービスチームが必要かどうか、または補修部品を最寄りの港に送る必要があるかどうかを判断できます。

WAGO I/O System はお客様の要求に応えます

「我々の製品が販売に至ったのは WAGO I/O System によってお客様の要件をほぼすべてを満たすことができたためです。」とドライブシステムの担当者は述べています。「また、WAGO 製品の海洋産業での実績を高く評価しています。他の WAGO 製品と同様、WAGO I/O System は、主要な船舶関連規格の承認を取得しています。特別なケースとして、WAGO 製品によってコンポーネントの認証を取得することに成功した例もあります。